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どうせなら、

甘くとことん甘く。



甘くてい、



「そうだね。意外だって言われるけど、甘いものかな?」

何気なく好物を聞いた私に彼が答えたのは、少し意外なものだった。
いつもの笑顔につい見蕩れる。
いや、彼が笑顔を見せるようになったのは本当にごく最近で、『いつもの』と言ってしまうにはまだ新鮮さの方が勝つけれど。

自慢のレシピノートをパラパラとめくって気付く。
そういえば、家庭料理が好きだという彼のおかげで、和食を中心とした料理はほぼ完璧になったものの、お菓子の部類はほとんど作っていない。
だって、甘党だなんて思ってもなかったし。

「じゃあ、ケーキとかクッキー?それともお団子とか和菓子系?」
「そうだねぇ」

隣でソファに腰掛けていた彼が、私の手の本をそっと取り上げる。
その代わりに与えられたのは、額への暖かい感触。

真っ白になった。

「ちょ、あの……え?!」
「キスされたんだから、もう少し他に反応があるだろう?」
「キ……」
「知らないの?じゃあもう一回教えてあげようか?」
「い、いいです結構です!知ってる、超知ってるから!」

笑いながら今度は唇に顔を近づける彼に、私は慌てて叫ぶように答える。
決して嫌なわけではない。けれど勘弁してくれ。
額だけでこんなに死にそうなのよ色々もたないのよ。

彼はそんな私の反応に、喉だけでククッと可笑しそうに笑うと、ふわりと私の頭を抱き寄せた。
まるで知らない男のひとみたいだ、と思う。
それでも、心臓がやたらと煩くそれは彼だとその魅力を訴える。
ああ分かってるよ。そんなに騒がなくても分かってるってば。

「あ、甘いもの好きって、本当に意外だね!」

どうにかこの場を切り抜けようと、無理矢理話題を切り替える。
そんな私の心の中なんて、きっと頭の良い彼には易々と見抜かれているだろう。
後頭部に置かれたままの手で私を撫でると、大きく頷いた。

「そうだね。特に甘い匂いが好きなんだ」
「匂い?」

聞き返して頭を上げた瞬間、突然ぎゅうと強い力が身体にこもった。
痛い位の、けれど暖かい感触に、言葉を失ってしまう。
君も甘い匂いがする。頭が密着しているために直接響く声を、迷わず受けて自ら痺れる。

ふと彼が力を緩めるなり、こちらもへにゃりと脱力する。座ったまま見上げる私に視線を合わせ、彼が笑う。
まっすぐ私の目を見て、極上の笑顔を与えた。
「そう。自分でも意外なくらい大好きなんだ」


ああ、神様。
なぜあなたはこんな天然を作ったのですか。今すぐにでもあなたを称えたくて仕方が無い。
けれど、神様。

「私、長生き出来そうにないッスよ……」
「何で?あと何十年でも、一緒にいてくれるんでしょ?」

至近距離にある綺麗な色の瞳。
かつて固く凍らせていた心は、溶けてしまえば誰よりも柔らかく暖かい。

「……そうだね、頑張らないとね」
「うん、頑張って」
そんな私の言葉に笑った彼を見てまたしても心臓が止まりそうになり、やっぱり無理かなと、こそりと思った。




お題【お菓子】


開き直ってキス祭りじゃーい!!!(※このお話は『スキスキスー』と同日アップです)
『ねぇ、神様』のクレア視点イメージで書きなおしてて気付いた。このクリフ(一応)白だよ!
白い方はとことん天然で、ある意味黒より恐ろしい存在を目指して書いてます。クレア頑張れ。超頑張れ。
奴はイベント後にいきなり台詞が甘く豹変しやがるので、心臓に悪いっちゅーねん。そこが好きですけど(笑)