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あしたも、あさっても、ずっと。
ずーーーっと。



手を、ごう。



「そだ、グレイ。お願いがあるんだけど」
「何だよ?」
「ちゅーして?」

ゴン、と鈍い音が響く。突然こんな事を言われりゃ、掲示板に頭を打ち付けても仕方がない。
ていうか何なんだ。何で昼間から。何で公共の広場で。あああ聞かれた!今のマナさんの表情は絶対聞かれてた!!

クレアさんが牧場に来て約1ヶ月。当然知り合って間もないと言える期間で、別に恋人だとかそういう関係ではない。
それをお前、何の脈絡もなくオイ。
ああ、混乱してきた。

「お前さ」
「何?」
「突然呼び出したかと思えば世間話始めて、んで流れぶったぎって、何でその台詞?」
「いやー、急にノスタルジックな気分になりまして」
「意味不明だっつの」

訳の分からない展開に頭を抱え、感じるのは一つの視線。
顔を向けると、そこには元凶の彼女。

「グレイ」
「だから何?」
「あしたも、あさっても、ここにくる?ずっとあそんでくれる?」
「は?」
「グレイのこと、だーいすき」
「あ……れ?」

突然、彼女に、幼い少女がダブる。
子供の様に喋り出した彼女を、俺は確かに知っている。

『ねぇグレイ、ちゅーして?』

無邪気に笑ってそう言う彼女がやけに照れくさくて、代わりに俺は。
翌日帰ることを知らなかった俺は、彼女の望みをかなえることはしなかった。
しかしその時俺は、せめてもとばかりに彼女に手を伸ばして。

「……お前、だったのか」
「ん?」
「あの時……俺、お前が居なくなること知らなくて……」

光に透けるきらきらとした髪。
この街の海みたいな深い瞳。
ああ、間違いない。

『じゃあ、またあした、ここでね!』

またあした、それは15年を要する明日。
目の前で、大きくなった彼女がふわりと笑う。
けれど、俺達は約束していた場所で、こうして続きを与えられた。
あの日の次の日が、確かに今ここに在る。だからそれでいいのだと。


彼女に手を伸ばす。あの時のように。
向かうのは、明日の約束のための帰り道。
差し出すのは、あの時よりも随分大きくなった右手。
次の明日は、本当に明日だ。そして、次の明後日も。

『あしたも、あさっても、ずーっと』

手を、つなごう。
手をつないで帰ろう。

俺達は子供のように、ぎゅうとお互いの手を握る。
俺の傍を離れようとしない幼い少女が、今確かにここに居る。


『しかたねーな、お前はほんと、いっつも引っ付いてよ』
『だって、はなれたくないよ?グレイのこと、だいすきだよ?』
『ああ、もう。分かった分かった』
『……なぁ、クレア』
『なぁに?』
『ほんとにしかたないやつだから、大きくなったらおれがもらってやるよ』


あの日の帰り道の会話を俺が思い出すのは、まだ、先になる。




お題【手をつなごう】


幼馴染設定グレクレ。ボーイ版プレイすると、ガール版にも誰かと小さい頃出会ってる設定あればいいのにと思います。
あんなに素直だったあの子も、15年経つとこうやって好きな男をおちょくって遊ぶのが趣味になります(←なりません)